カヌー完成

 ここ1ヶ月ほどかけて製作していたカヌーがついに完成。

 このカヌー、『The Canoe Shop』という本を元に作りました。
 いわゆるステッチ&グルー工法なのですが、パネルの継ぎ目に工夫がしてあって、ちょっとクリンカー張りのような感じに仕上がります。
 本格的なカヌーで用いられるストリップ・プランキング工法と比べ、ステッチ&グルーというと安上がりで簡単ながら見かけが悪いというイメージがあると思います。ところが、こちらはエレガントなスタイルが魅力です。

 1月15日、頼んでいた合板到着。さあ、作るぞー。

 

材料の切り出し。ジグソー+カンナで割と楽な作業です。が、この時点での精度が肝心。チェックと仕上げを念入りに。

 まずは合板から各パネルを切り出します。
 合板はマリングレードという上質の物を手に入れるのが大変でした。オークランドから取ってもらったんだけど、お店のオヤジが妙に親切で「マリングレードは高いからやめた方がいいぞ。その一つ下のグレードのもので十分だからこれにしなさい」としつこいのであります。高いっていってもたいして違わないんだけど。

 結局、彼の押しに負けてBBグレードというのにしました。
やっぱり芯材に小さな隙間があったり表面のベニアが薄かったりと、グレードは落ちます。
 次に作る時は絶対にマリングレードにしようと心に決めた夏の日でありました。

 合板は長辺が8フィートあります。ここから図面通りに細長いパネルを切り抜きます。カヌーは前後左右が対称だから、4枚重ねて同じ形で5種類切り抜けばokって事。
 8フィートのパネルを前後2枚繋いで16フィートのカヌーが出来上がるというわけですね。
 


いよいよ組み立て。ワクワクしつつ、なかなか大変な作業です

 前後のパネルは継ぎ目を斜めに削り、スカーフ繋ぎで。さらに下の縁に1センチくらい(3/8インチ)の溝を掘ります。ここがミソ。溝はルータで掘ればあっという間です。こんな感じ。↓

 各パネルをビニールのタイラップ(インシュロック・タイというのかな?)で繋いでいきます。
 各パネルは溝に沿って重なっていき、ここが糊しろになるわけ。隙間にエポキシを流し込んで固めます。継ぎ目がそのまま表に出てしまう通常のステッチ&グルーに比べ、合わせ目が溝の中に収まるので角が綺麗に出るってわけですね。

 このあたりの作業は一人では無理ですな。ちょうどオークランドからヤマシタ夫妻が遊びに来たので手伝ってもらいました。タイラップをギュッとしぼればこんな感じ。
 この後、ボトム部分は裏表をFRPで補強。一番下の継ぎ目だけは通常のステッチ&グルー工法同様単なる突き合わせなのでガラスクロスとエポキシでガッチリ固めるワケです。

 ここまでの作業はわりと早いです。1週間かかっていません。あとはガンネル材とデッキを張って、最後は塗装をいかに頑張るか。頑張らなくてもちゃんとカヌーとして機能はするので、あとは自己満足の世界ですね。

 そもそもカヌーを作ろうなんて人は、ニス塗りに魅力を感じるのでしょうが、この本の作者は「ニス塗りは木目で表面の仕上げをごまかしているのだ」とし、外板には色を付ける事を勧めています。
 実際に、この艇の魅力は外板の継ぎ目。こいつを引き立たせるには色を付けた方がよろしいようです。

ようやく船らしい形になってきました。でも、ここから先が長いんですね。
ここまでで全体の行程の1/4って感じかな。

  という事でボトムは白に塗りました。
 全面的にエポキシでコーティングした後、プライマーを2回、アンダーコートを1回塗ってその上にトップコートという贅沢な仕様。
 ま、乗り始めたらすぐに傷だらけになっちゃうんだろうけど。

 このあたりの作業は、塗っては乾くのを待って磨いて……が続くので結構日数がかかります。が、塗装好きの人にとっては楽しい毎日です。



ボトムはInternational社のヨット用高級ペイント“Brightside”で仕上げました。
刷毛塗りでも、結構いい艶がでます。

 デッキとガンネル部はニス仕上げでテカテカに。ハル内側はあまりテカテカ輝いていても安っぽいので#400のペーパーで磨いて艶を落としてみました。どうかなぁ。

 2月22日。夏も終わりに近づいた頃、ようやく完成。さっそく近所の湖に持って行って進水です。
 ここしばらく大荒れの天気が続いていたのですが、今日は晴れ。気持ちよくパドリングしてきました。
 スピードは結構出ます。楽しいですよ。が、思っていたよりも安定性が悪い感じ。ま、慣れの問題ですかね。

 パドルはやっつけ仕事でとりあえず2本作ってみましたが、『Canoe Paddles』という本も仕込んであるので、今度はじっくりとパドル造りを楽しもうと思ってます。

(2004/2/22)
 


デッキもInternational社のニス“Goldspar”でテッカテカ。
エレガントなスタイルがステキ。カヌーというよりボートという感じ。

 

 

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