毎年の事ながら、IMSクラスのエントリーは少ない。今年も9艇の大型艇が集まったのみだが、レベルは拮抗していて最後まで目が離せない接戦が続いた。
昨年の優勝艇<ハイランド・フィリング>(キャロルマリン60)と同型艇の<リマ>はワンデザイン崩れともいえるが、残りの7艇は、いずれも個性的なIMS50〜47フッターである。
ニューポート、ハワイ、サンフランシスコと転戦を続けている植松真オーナーの<エスメラルダ>(ファー50)を筆頭に、前回のアドミラルズカップ・アメリカ代表艇で1999年型グランプリ50フッターの<アイドラー>(N/M50)。99年のアドミラルズカップでは、その革新的すぎる設計が認められず大会不参加となったフランスの<クレイジー・コヨーテ>も問題のマストを変えての出場。また、世良オーナーの<シーホーク>(ファー47)もメンバー一新、スペインのセイラーを乗せてのエントリー。
……と、やはり、レースボートそのものの魅力としては、こうしたワンオフ艇に軍配が上がる。いかにワンデザイン全盛とはいえ、やはりこの手のボートが出てこないと、イベントは盛り上がらない。
名手ケン・リードが引き続き舵を持つ<エスメラルダ>は、初日、2日めを1-1-2-1とまとめ、ボートスピード、タクティクス、クルーワークすべての面で他艇を圧倒。……と、思われたが、3日め、微風下のレースで5位と順位を落とし、おまけにそれまで3位につけていた<ビラーゴ>(N/M49)からの抗議を受け20%のペナルティーが課せられる始末。
続く4日めも調子が戻らず、フィニッシュ間際に<アイドラー>(N/M50)へ猛烈なジャイブ合戦を仕掛け、まんまとペナルティーを与えたものの、トップからは引きずり降ろされた。
最終日を迎え、バージンアイランドのピーター・ポンビー率いる<ビラーゴ>がトップに立ち、これを1点差で追う<エスメラルダ>。さらに1点差で迫る<アイドラー>と、三つ巴の戦いとなる。
3日ぶりに15ノットオーバーの順風となったこの日。この風を待っていたかのようにスタートから火の出るような走りを見せた<エスメラルダ>がトップを取り、逆転優勝を果たしたのであった。
あっさり優勝かと思われた<エスメラルダ>の意外な苦戦。これは、IMSルールの公平さにあると見て良いのではないかと思われる。毎年変更される為評判は悪いが、それは、不具合を修正してるという事である。手入れがいいのでピカピカに輝いてはいるが、決して新しい船とは言えない<ビラーゴ>と最新鋭の<エスメラルダ>が、確かに接戦を演じる事ができるのだから。
まあ、この公平さは、グランプリレースの場でははたしてどうなのか。新鋭艇なぞ必要なくなってしまうということでもあるのだから。まあこれは、また別の話なのだろうが。
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ということで、なんとか勝利をものにして、3月のSORCに繋げた、我がエスメラルダチームでありました。
レース後は再びニュージーランドに戻り、クルージング道を極めます。
(2001/3/8記) |